仙台市若林区の井土付近でかつて生息していた固有種「井土メダカ」の展示が、同市青葉区にある東北工大の一番町ロビーで開かれている。井土付近は震災時に津波で被災。メダカも姿を消したが、たまたま前年に採取されていて復活を遂げた。
ロビーには、井土を含む六郷東部地区の歴史がパネル11枚で紹介されており、ぷかぷか泳ぐ井土メダカの稚魚3匹も観察できる。
井土メダカはミナミメダカの仲間。震災の前年に、宮城教育大が数十匹を研究用に採取・飼育していて、絶滅を免れた「奇跡のメダカ」と称されている。かつての住民が「里親」になるなどして繁殖に取り組み、今や2万匹近くまで増えた。来春、東六郷小学校跡地にオープンするコミュニティー広場の「メダカ池」に放流される予定だ。
17日に開館と同時に訪れたのは井土地区出身の丹野明夫さん(71)=同区今泉=だ。繁殖に取り組む里親の一人だ。
震災で家を失い、1キロ以上離れた内陸に移り住んだ。メダカを見ると、震災前の緑豊かな古里の風景や、カエルの鳴き声で起こされた日常を思い出すという。「昔は何とも思っていなかったけどね。メダカを通じて地元のことも知ってもらえたら」と話した。
展示は20日まで、午前11時~午後4時。無料。(大宮慎次朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル